SUS630について詳しく解説!
SUS630は、日本工業規格(JIS)におけるステンレス鋼のグレードであり、国際的にはASTM規格での呼称である17-4PHステンレスとも呼ばれることがあります。このステンレス鋼は、耐食性、耐熱性、強度などの特性を持ち、幅広い産業分野で使用されています。
SUS630化学組織について
SUS630(17-4PHステンレス)の主な成分は、以下の通りです。
- クロム (Cr): 15.0-17.5%
- ニッケル (Ni): 3.0-5.0%
- 銅 (Cu): 3.0-5.0%
- マンガン (Mn): 最大1.0%
- シリコン (Si): 最大1.0%
- ニオブ(コロンビウム) (Nb): 0.15-0.45%(一般的にはコロンビウムと呼ばれることが多いです)
- リン (P): 最大0.04%
- 硫黄 (S): 最大0.03%
- カーボン (C): 最大0.07%
- ニトロゲン (N): 最大0.1%
- 鉄 (Fe): 残りの成分
これらの成分が組み合わさって、SUS630は高い強度、耐食性、耐熱性を提供する特性を持っています。特に、クロムとニッケルが耐食性を向上させ、銅が加工性を改善します。コロンビウム(ニオブ)の添加は、熱処理によって硬化を促進する役割を果たします。
ただし、成分は製造メーカーや規格によって若干異なる場合がありますので、具体的な材料の成分を確認する際には、製品仕様書やデータシートを参照することをお勧めします。
SUS630(17-4PHステンレス)の主な特性と用途について詳しく説明します。
特性について
- 耐食性: SUS630は一般的な腐食に対して優れた耐食性を持っています。これにより、海洋環境や化学プラントなどの厳しい条件下で使用されることがあります。
- 強度: 高い強度と硬度を持ち、熱処理を施すことで更に強化できます。これにより、構造部品や高負荷アプリケーションで使用されることがあります。
- 磁性: SUS630は一般的に磁性を持つ傾向があります。しかし、熱処理によって非磁性化することも可能です。
- 加工性: 標準的な加工方法で切削、溶接、成形などの加工が可能です。
用途について
- 航空宇宙産業: SUS630は航空機や宇宙船の部品として使用されることがあります。高い強度と耐食性が要求される環境での使用に適しています。
- 医療機器: 生体材料との適合性があり、人工関節や外科手術用具などの医療機器に利用されます。
- 石油・ガス産業: 化学プラントや海上施設など、腐食性の高い環境で使用されるバルブやパイプラインなどの部品に適しています。
- プロセス産業: 高温や腐食環境で使用されるバルブ、シャフト、ポンプなどの部品にも用いられます。
- マリンアプリケーション: 耐食性が求められる海洋環境での使用に適しています。
総じて、SUS630はその高い耐食性、耐熱性、強度などの特性から、多岐にわたる産業分野で広く使用されている重要なステンレス鋼の一つです。