SUS660について詳しく解説!
SUS660は、ステンレス鋼の一種であり、一般的にはASTM規格での呼称であるA286ステンレスとしても知られています。このステンレス鋼は、高温環境での耐食性と強度を備えており、航空宇宙産業やエンジン部品、高温環境での使用が要求されるアプリケーションに適しています。
SUS660化学組織について
SUS660(A286ステンレス)の主な成分は、以下の通りです。
- クロム (Cr): 15.0-17.0%
- ニッケル (Ni): 24.0-27.0%
- モリブデン (Mo): 1.00-1.50%
- チタン (Ti): 1.90-2.35%
- アルミニウム (Al): 0.35-0.65%
- バナジウム (V): 0.10-0.50%
- マンガン (Mn): 最大2.00%
- シリコン (Si): 最大0.50%
- 炭素 (C): 最大0.08%
- リン (P): 最大0.025%
- 硫黄 (S): 最大0.025%
- 鉄 (Fe): 残りの成分
これらの成分が組み合わさって、SUS660は高温での強度と耐食性を提供する特性を持っています。クロムとニッケルの含有量が耐腐食性と高温強度を向上させ、モリブデンやチタン、アルミニウムなどの添加が特性を調整しています。
ただし、成分は製造メーカーや規格によって若干異なる場合がありますので、具体的な材料の成分を確認する際には、製品仕様書やデータシートを参照することをお勧めします。
SUS660(A286ステンレス)の主な特性と用途について詳しく説明します。
特性について
- 高温耐性: SUS660は高温環境での使用に適しており、800°C(1472°F)程度までの温度で耐食性と強度を保持できます。
- 強度: 高い引張強度と疲労強度を持っており、高温条件下でも安定した性能を発揮します。
- 耐腐食性: 一般的な腐食に対しても優れた耐食性を持ちます。クロムとニッケルの含有量がその耐食性を向上させています。
- 非磁性: SUS660は一般的に非磁性を持つ特性があります。
- 加工性: 鉄系ステンレス鋼に比べて加工性が良く、熱処理によって硬化・強化が可能です。
用途について
- 航空宇宙産業: SUS660は高温での強度と耐食性が求められる航空機エンジン部品やタービンブレード、高温環境下での使用が必要なアプリケーションに利用されます。
- 自動車産業: ターボチャージャーや排気システムなど、高温にさらされる自動車部品にも使用されることがあります。
- 石油・ガス産業: 高温での耐食性が求められるオフショアプラントや石油精製プロセスでの部品に適しています。
- 発電産業: 高温環境下でのタービン部品や発電設備の耐食性部品にも使用されます。
SUS660(A286ステンレス)は、その高温耐性と強度を活かして、厳しい条件下での使用が必要な産業分野で重要な役割を果たしています。