SUS303について詳しく解説!
SUS303とは、日本工業規格 (JIS) におけるステンレス鋼のグレードです。SUS303についての詳細を説明します。
SUS303化学組織について
- 化学組成: SUS303は、主にクロムとニッケルを主成分としています。以下に、一般的な化学組成を示します(単位:質量%)
- 炭素(C): 0.15%以下
- シリコン(Si): 1.00%以下
- マンガン(Mn): 2.00%以下
- リン(P): 0.20%以下
- 硫黄(S): 0.15%以下
- クロム(Cr): 17.00〜19.00%
- ニッケル(Ni): 8.00〜10.00%
- その他の要素: 各0.60%以下
SUS303特性と用途
SUS303は、一般的なステンレス鋼よりも切削加工性に優れており、特に自動旋盤加工に適しています。これは、硬質フェライト相と軟質オーステナイト相を含んだ合金組織を持つ「フリーマシニングステンレス鋼」として知られています。硬質フェライト相が切削時に欠削の形成を促進し、切削の安定性と加工速度を向上させます。
主な用途は以下の通りです
- 自動車および自動車部品の加工
- 機械部品や精密部品の製造
- 電子部品や電気機器のコネクタ
- 軸受けやボルト、ナットなどの用途
- 比較的低い耐食性: SUS303は、耐食性が他のステンレス鋼に比べてやや劣る特性があります。これは、硫黄(S)とマンガン(Mn)の含有量が比較的高いため、加工性を向上させる代償として耐食性が犠牲になっているためです。そのため、高い耐食性が要求される環境や用途には適していません。
- 熱処理: SUS303は、熱処理によって強化されることがありません。一般的に、加工後に必要な強度を得るためには冷間加工(冷間引き抜きなど)が行われることがあります。
最後に注意点として、SUS303は鉄としての基本的な性質を持っているため、磁性を持ちます。高い磁性が要求される用途では適していないかもしれません。
SUS303は、その優れた切削加工性と幅広い用途により、工業製品の製造業界で広く使用されているステンレス鋼の一つです。ただし、具体的な用途に応じて適切な材料を選択することが重要です。