SUS410について詳しく解説!
SUS410は、日本工業規格(JIS)におけるステンレス鋼のグレードです。一般的にはASTM規格での呼称であるType 410ステンレスとも呼ばれています。SUS410は、高硬度と耐摩耗性を持つマートンシティックステンレス鋼であり、刃物や工具などの製造に向いています。
SUS410化学組織について
SUS410(Type 410ステンレス)の主な成分は、以下の通りです。
- クロム (Cr): 11.5-13.5%
- ニッケル (Ni): 最大0.75%
- マンガン (Mn): 最大1.0%
- シリコン (Si): 最大1.0%
- 硫黄 (S): 最大0.03%
- リン (P): 最大0.04%
- 炭素 (C): 0.15-0.25%
- 鉄 (Fe): 残りの成分
これらの成分が組み合わさって、SUS410は高硬度と耐摩耗性を提供する特性を持っています。主にクロムと炭素の含有量が高く、これが硬度と切削性の向上に寄与しています。
ただし、成分は製造メーカーや規格によって若干異なる場合がありますので、具体的な材料の成分を確認する際には、製品仕様書やデータシートを参照することをお勧めします。
SUS410(Type 410ステンレス)の主な特性と用途について詳しく説明します。
特性について
- 硬度: SUS410は高硬度を持ち、熱処理によって更に硬化することができます。これにより、耐摩耗性が向上します。
- 切削性: 高硬度に加えて、切削加工や工具の製造に適した切削性を持っています。
- 耐摩耗性: 刃物や工具など、摩耗に強い特性が求められる部品やアプリケーションに使用されます。
- 耐食性: 他のステンレス鋼に比べて耐食性は劣りますが、一般的な環境での腐食にはある程度耐えることができます。
用途について
- 刃物: 包丁や手工具、産業用の刃物などの製造に広く使用されます。高硬度と耐摩耗性が、切れ味と耐久性を向上させます。
- 工具: 切削工具、工業用のノズル、バルブなどの部品や工具の製造に使用されます。
- 軸受: 耐摩耗性が求められるベアリングや軸受などの部品にも使用されます。
SUS410は、その高硬度と耐摩耗性によって、特定の用途に特化したステンレス鋼として広く利用されています。ただし、耐食性が他のステンレス鋼に比べて低いため、環境や用途によっては適切な選択であるか検討する必要があります。